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時空が交錯する複雑な世界で迷子になってみませんか?監督と一緒に…… TENET(テネット)

 

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2020年 アメリカ、イギリス

あらすじ

(この物語の主人公には名前が与えられていないので、”男”とする。)

 キエフ国立オペラハウスが開演の瞬間を迎えたそのときテロリストがなだれ込み、瞬く間に占拠した。現場に武装警察官が急行してきた。その中に紛れ込み、謎の部隊がオペラハウスに突入した。その中に”男”もいた。彼らの目的はテロリストではなく、テロリストのターゲットとなっていた重要人物の救出だった。その重要人物は変わった形状のパーツを持っていた。”男”は無事重要人物の救出に成功したが、自らは捕らえられ拷問された。”男”は秘密を守るため毒薬を飲み込んだ。

 しかし”男”は死ななかった。洋上の船で目を覚ました”男”は、見知らぬ男に「君はテストに合格した」と告げられた。”男”は陸に上がると命じられるままに研究所へ向かった。そこで待っていた女性研究者から”男”の使命は第三次世界大戦を止めることだと告げられた。彼女によれば、世界は核によって滅ぶのではない、未来の誰かが作った時間を逆行させるマシンで滅ぶのだというのだ。信じられない”男”に彼女は銃弾が撃ち込まれた1枚の壁を見せた。”男”が銃を向けると、壁に撃ち込まれた弾が”男”の構える銃に逆戻りした。それが証拠だった。”男”は手がかりを掴むためその弾の出所であるインドのムンバイに向かった。

 ”男”は組織から派遣されたニールという男の協力のもと、現地で武器取引を牛耳っているプリアと接触した。”男”が時をどうやって逆行する弾を作ったのか尋ねると、プリアは未来と現在の仲介役をしている武器商人のセイターなら知っているはずだと答えた。

 セイターはソ連の閉鎖都市(各施設などがあるため地図に載っていない都市)スタルスク12の出身だった。セイターはプルトニウムで財を成し、今はイギリスの上流階級の娘キャットと結婚しロンドンに住んでいた。

 ”男”はキャットをツテにセイターと接触することにした。協力者の情報によれば、美術鑑定士のキャットは婚前セイターに贋作を売っていた。その弱みにつけ込むことにした。キャットと接触することに成功した”男”は、彼女から意外な事実を聞かされた。セイターはキャットから贋作を売りつけられたことをとうの昔に見破っていて、それをネタに彼女の人生はセイターに支配されているというのだ。”男”はせいたーからその絵を奪ってやる代わりにセイターに会わせるよう取引を持ちかけた。

 件の絵はオスロ空港に隣接する美術品倉庫に保管されていた。”男”はニールとともに飛行機を倉庫に激突させて火災を起こし、防火設備が作動した混乱に乗じて絵を奪うことにした。しかし、突然倉庫内の回転ドアから現れた武装した男の襲撃に遭い、作戦は失敗した。

 再び”男”はプレアと接触した。そして彼女から、セイターはオペラハウスで”男”のCIAの仲間からプルトニウム241を奪おうとしたが失敗した、そのプルトニウムは現在ウクライナ保安庁の手に渡っている、その奪還をセイターに持ちかけ、彼の計画を掴むよう指示された。

 ”男”はキャットに絵は始末したと嘘をつき、セイターと面会の機会を作らせた。セイターは最初は”男”が妻の不倫相手だと勘繰っていたが、”男”がオペラハウスとつぶやくと顔色が変わった。翌日、セイターの船に呼び出された”男”は、彼にプルトニウム241の奪回に手を貸してほしいと申し入れたが、逆にそれを奪回して持ってこいと脅迫された。

 ”男”はニール達と作戦をたてた。高速道路を走行するプルトニウム輸送車両の周りを大型車で取り囲み、身動きできないようにした上で、奪回するという作戦だった。作戦はうまくいった、ように思えたが、時を逆行して走行する車両が現れた。その車両の後部座席にはキャットに銃を突きつけたセイターが乗っていた。”男”はキャットの命を救うため、やむを得ずプルトニウム241が入ったケースをセイターに渡した。その直後、セイターの手下と銃撃戦が始まり”男”は捕らえられてしまった。

 気がつくと、男は倉庫のような場所で拘束されていた。ガラス張りの壁の向こうにセイターに銃を突きつけられたキャットがいた。そして”男”はケースの中身をどこに隠したのか問い詰められた。”男”がセイターに渡したのは空のケースだったのだ。”男”が口澱んでいるとセイターは迷いなくキャットの腹部を撃った。男はたまらず車のグローブボックスの中だと白状した。そのとき、ニールとプレアの私設部隊が”男”の救出のため突入してきた。

 ”男”は作戦が筒抜けだったのはニールが通じていたせいではないかと疑った。しかし、それは誤解だった。セイターは、チームを2つに分け、1つは時間が正常に流れる世界に、もう1つは逆行して流れる世界に配置し、いわば時間空間で「挟み撃ち」する作戦をとっていたのだ。

 キャットは重傷でこのままでは間もなく命を失う状態だった。アイブス部隊長は時を逆行させれば助かるかもしれないが、戻れなくなるかもしれないと難色を示した。”男”はアイブスを説得し、その場にあった時を逆行させるための回転ドアに入った。回転ドアの向こうでは時が逆行していた。”男”がプルトニウム241をセイターの手に渡らないよう確保するために外に出ると言うと、隊員からいくつかの注意点の説明があった。①逆行中は外気が肺を通らないので酸素ボンベが必要なこと、②過去の自分に直接接触すれば対消滅すること、③摩擦係数などが全て逆転しているので車の運転は避けることなど。

 建物の外に出ると、全てが逆行していた。音すらも逆再生したように聞こえた。現場に向かうために車に乗るが思うように運転できなかった。途中セイターの無線を傍受した。セイターは手下に「爆心地にアルゴリズムを運べ」と怒鳴っていた。アルゴリズム?”男”はなんとかセイターにケースを渡したその瞬間まで戻ったが、セイターの方が一枚上手だった。”男”は動きを読んでいたセイターに車を横転させられた上に火をつけられてしまった。

 気がつくと”男”は、ストレッチャーの上に寝ていた。傍らにはニールがいた。逆行した世界では火に包まれると火傷ではなく低体温症になるらしい。”男”はニールにプレアをオスロに呼び出せと要求した。

 プレアと接触した”男”は彼女から真の目的を聞き出した。”男”がセイターから奪おうとしていたのはプルトニウムではなくアルゴリズムだった。それは未来の科学者が作り出したもので、世界のあらゆるものの時を逆行させることができるものだった。その科学者は自分の生み出したものに怯え、そのマシンを9つに分割し、管理が厳重な核施設に隠したのちに自殺してしまった。セイターがコンタクトを取っている未来の組織は、”祖父殺しのパラドックス”(祖先を殺した場合、その子孫は存在しうるのかというパラドックス)を無視して祖先がどうなろうと自分たちの存在は普遍であると信じているが、プレアの雇い主である未来の組織は異なる考えをもっているというのだ。そしてもう一つ、プレアたちの組織の狙いは、”男”がセイターの手に「プルトニウム」が渡らないよう阻止することではなく、セイターが”男”から「プルトニウム」を奪いマシンを完成させ、それを移動させるときに乗じて奪回することが目的だったことを知らされた。”男”は囮だったのだ。

 マシンがある場所は、セイターの故郷である閉鎖都市スタルスク12だった。捨てられた無人都市を舞台にセイターの率いる部隊と”男”やニールが加わったプレアの率いる部隊との戦いが始まった……。

 

感想・コメント 

 時間軸の魔術師クリストファー・ノーラン監督作品。評価は大きく分かれるだろう。多分、劇場で観ても理解できず、観賞後は「戦闘シーンとかすごかったね」という感想は口にするものの、それ以上話は弾まない、そんな作品だ(デート向きではないことは確かだ)。批判を承知で言えば、私はこの作品は「よくない」と思う。劇場で公開する映画でここまで観客を置いておきぼりにするのがいただけないし、パラドックスや時間軸の逆行を扱っている故に数々の矛盾があって観賞後の爽快感がないからだ。ノーラン監督も着想時はいけると踏んだのだろうが、シナリオを練っていくうちに何となく物語自体に大きな矛盾をいくつも内包してしまっていることに気づいたのではないだろうか。だから、途中で過去の自分と直接接触すると対消滅するなどと脇役に説明させながら、実は劇中で逆行中の”男”が過去の”男”と取っ組み合いをしてしまうシーンを成立させるために「防護服」等という都合の良いものを登場させたりしている。なんといっても、時を逆行させるマシン(回転ドア)がこの世に存在している限り、何度でも過去を書き換えることができるため、この物語の結末さえ無限数のマルチエンディング(つまりパラレルワールド)の一つにすぎないのだ。内容を理解するために何度も巻き戻しながら鑑賞したが、アクションなどは、お金がかかったハリウッドクオリティで普通に楽しめたものの、総括すれば疲れただけだった。

 ちなみに私はノーラン監督は好きです。

 

www.basco.tokyo

 

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  最後までお付き合いいただきありがとうございました。 

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