「騙される奴が悪い」はずがない [ディス/コネクト]

2012年 アメリカ

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あらすじ

 高校生のジェイソンとフライは、毎日2人でくだらない悪戯にうつつを抜かしていた。彼らがターゲットにしたのは同級生のベン・ボイドだった。理由などなかった。単に大人しそうでウブに見えたからだ。ベンのフェイスブックのアカウントを見つけた2人は、近所の学校の女生徒をでっち上げてベンに気があるようなメッセージを送った。ベンは易々と2人の企みに乗ってしまい、すっかり舞い上がってしまった。そして、セクシーな写真を送って欲しいと求められると、疑うこともなく他人には見せられないような恥ずかしい写真を送信してしまった。
 2人はベンの画像を学校中にばら撒いた。元々繊細なベンの精神は、その恥辱に耐えられなかった。ベンは自室で首吊り自殺を図った。姉に発見され一命はとりとめたものの、昏睡状態に陥ってしまった。
ベンの自殺未遂のことを知ったジェイソンとフライは、何よりも自分たちの仕業であることがバレることを恐れ、証拠となるアクセスデータを抹消することにした。

 その頃、テレビ局の報道レポーターのニーナはスクープを探していた。彼女は少年少女を売り物にしているライブカムサービスに目をつけ、カイルという少年と接触を試みた。何度かやりとりをした後、接触に成功したニーナは、カイルに取材を申し込んだ。最初難色を示していたカイルだったが、結局取材に応じることにした。ニーナのリポートは大いに評価され、彼女は昇進を果たした。
そんなニーナに予想外の事態が降りかかってきた。FBIがやってきて、未成年を利用した重大犯罪の捜査の手がかりとしてニーナが取材したカイルの情報を提供しろというのだ。最初は情報源の秘匿を理由に拒否しようとしたが、FBIに楯突けばニーナ自身の立場も危うくなると弁護士からアドバイスされ、やむを得ず応じることにした。更生を手伝うという甘言でカイルの居場所を聞き出したニーナは、FBIにその情報を伝えた。後はFBIが動くのを待つだけだった。しかし、何かの手違いでその前に地元警察がアジトに乗り込み、カイル達は逃亡する羽目になった。

 その頃、子供を失ったデレックとシンディーの夫婦生活は危機を迎えていた。シンディーは再び子供を作ろうと不妊治療を受けていたが、デレックの方はもう子供どころか夫婦であり続けることも諦めているようだった。ある日突然、クレジットカードを不正に利用され銀行口座を差し押さえられてしまった。警察があてにならないと考えたデレックは、元警官でIT犯罪捜査を担当していた探偵に調査させ、犯人の男を突き止めた。
 デレックとシンディーは金を取り戻すため、遠路はるばる犯人の男の家まで行き、張り込みを始めた。犯人は想像よりも冴えない男だった。金回りが良いわけでもなく、独り孤独な生活を送っていた。皮肉なことに、男の追跡という共通の目的を通じて2人の間に再び連帯感が芽生え始めていた。そして、いよいよ2人が犯人と対峙しようとした間際、探偵からデレックにその男は犯人ではなかったと連絡が入った。

 ネットに翻弄される人々達の運命の行方は。

感想

 ネット社会が生み出した犯罪や問題を描く作品。3つのストーリーが同時進行しているように展開しますが、それぞれのストーリーが絡み合うわけではないため(正確には少しだけ関係しますが)、独立したショートストーリーのオムニバス作品にしても良かったのではないかと感じました。

 便利で生活に不可欠なネット社会の影の部分を描くというコンセプトですが、よくよく考えるとネット社会前から、学校内でのいじめ、マスコミの軽率短慮、人の弱みにつけ込んだ詐欺などはよくある話で、実は新鮮味はなかったりします。しかしこれを観た多くの人は「ネット社会には危険が潜んでいる」という(少々誇張された)警戒心を覚えるでしょう。ドラマとしての深みは殆どありませんが、ネット犯罪の被害者にならないための啓発映画としては存在価値があるのかも知れません。

 最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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