2019年 イタリア
あらすじ
ピエトロとアルバの金婚式を祝うため、親族一同が夫婦の住むイスキア島に招待された。ピエトロはレストラン経営で成功し、今は息子のカルロと娘のサラに商売は任せて、妻のアルバと共に悠々自適の隠居生活を送っていた。
とにかく大勢に集まって欲しいという夫妻のたっての希望で、カルロの前妻と2人の間にできた娘まで招待された。

一同は久しぶりの再会を喜び合いながら、連絡船に乗り込み島に向かった。夫妻の金婚式を祝福するかのように空も晴れ渡っていた。教会での金婚式とパーティーを終えたところまでは良かったが、強風のため帰りの連絡船が運休となってしまい、急遽全員島に泊まることになった。予定外に長い時間一緒に時を過ごすことになったことから不協和音が生じ始め、包んでいたオブラートが溶けるように、それぞれが抱えている問題が滲み出し始めた。心地良かったはずの時間が落ち着かない不愉快な時間に変わっていった。

カルロは、前妻との間にできた娘が愛おしいが、嫉妬深くそんなカルロを許すことができない妻と始終口論が絶えなかった。
作家として成功したパオロは、実は人生の目的を見失いつつあった。
サラは夫のディエゴとうまくいっておらず、彼の浮気に悩んでいた。
リッカルドは新しい恋人との間に子供ができたが、生計を立てるのに十分な収入がないことに悩んでいた。他の人も……。
連絡船の運行が再開されたのは2日後だった。島で足止めされた時間は、皆がそれぞれが抱えている問題に向き合うのに十分な時間だった。港で船から降りた一行は、それぞれが新たな人生の決断をし、次の一歩を踏み出すのだった。

感想・コメント
久しぶりに親戚が一堂に介する機会といえば、縁起は悪いが葬式が思い浮かぶ。あなたにもし配偶者がいれば、先方の葬式に参列した時に落ち着かない気分になったことがあるだろう。この作品の導入部分で感じるのは、それに似た気分だ。主人公が誰かも定まらない中で、登場人物(つまりピエトロとアルバの親族一同)が次々と登場するのだが、誰がどういう立場なのかといった説明がイタリア人らしい早口でまくし立てるような会話でしかされない。故に、頭の中でなかなか相関図をイメージすることができない。DVDなどで鑑賞しているのであれば、巻き戻せばいいが、もし劇場で鑑賞するなら、相関図で予め把握しておいた方がいいだろう。
登場人物は皆、若い時は幸せになれることを信じて結婚し努力したのに、何故か理想とは程遠くなっている今の自分への失望感に苛まれている。中高年なら多かれ少なかれ共感できるのではないだろうか。共感できないとしたら、多分あなたは幸せなのだ。この作品では、若い2人の間に新たな愛が芽生えるシーンも絡めており、それが絶妙なコントラストとなっている。
この作品のメッセージはエンディングで直接語られる。「人生の過ちに気付いたら、やり直すべきだ。今ならまだ間に合う」と。個人的には、伝えたいことを直接的に語る演出は好きではないが、言っていることはもっともだと思った。
イタリア映画らしい優れた音楽と美しい景色がこの作品を彩っている。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。
AmazonPrimeで鑑賞することができます!(本作品の配信情報は2020年5月4日時点のものです。配信が終了している、または見放題が終了している可能性がございますので、現在の配信状況についてはホームページもしくはアプリをご確認ください。)
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