バスコのLIFE GOES ON!

人生は40代からが楽しい!そう思える生き方を目指しています。

自己満足な人生を送る人、付き合わされる人 ラスト・ディール 〜美術商と名前を失くした肖像〜

 

f:id:Ta-Basco:20210711152532j:plain

2018年 フィンランド

あらすじ

 画商のオラヴィ・ラウニオは、人生の全てを仕事に捧げたが報われそうもなかった。永年守り続けてきた画廊も閉めなければならないくらい、経済的に行き詰まっていた。妻には先立たれ、仕事にかまけてないがしろにしてきた娘とは疎遠になっていた。すっかり年老い、現実を向き合わなければならないことは分かっていたが、最後になんとか一花咲かせたかった。

 そんなある日、隣のドゥブロフスキー画廊でオークションの下見会が開催された。自分の店とは違って、ドゥブロフスキーの店は繁盛していた。何気なく店の中をのぞいたオラヴィは、作者不明の1枚の肖像画に心を奪われた。彼はそれが巨匠イリヤ・レーピンの作品のように思えた。同業者の仲間にはリスクが高すぎると止められたが、その作品にすっかり魅了されたオラヴィは、その絵を手に入れるため、ほうぼうに金の無心をした。

 そんな彼のところに、学校の課題となっている職業訓練のために娘の息子のオットーがやってきた。最初は渋ったオラヴィだったが、機転が効くオットーはほどなく謎の肖像画の調査のパートナーとして不可欠な存在になった。しかし、オークションまでに時間は十分残されていなかった。オットーをその肖像画が元々保管されていた美術館まで遠征し、オラヴィはオークション会場に向かった。オラヴィは全財産でも足りない額で落札した。オットーの調査で、その作品はオラヴィが見込んだとおりイリヤ・レーピンの作品だったことが分かった。

 画商として最後の大仕事を終えつつあるオラヴィだったが、まだ問題が残っていた。落札した作品を買い取る資金が足りないのだ。ついにオラヴィは、画廊を譲渡することでその金を得ることにした。永年の自分の人生の全てを捧げた店は、呆気なく空っぽになった。全てを手放したが、その代わりに自分の画商としての集大成に相応しい大作を手にすることができたことに満足していた。あとは、それを売却するだけだった。

 しかしオラヴィが落札した作品が大変な価値があるものだと知ったドゥブロフスキーが、事もあろうにオラヴィが手にした作品の真贋は定かではないという噂を広めた。その噂によって買い手がつかなくなったことにオラヴィは激しく落胆した。そして、自宅で残務整理をしている間に急死してしまった。

 遺品整理をしていたオラヴィの娘のところにドゥブロフスキーが弔問を装って訪れてきた。そしてレーピンの作品の買い戻しを申し出た。絵の価値も彼の人柄も知らない彼女は、親切心からの申し出だと思い応じようとするのだった。

感想・コメント 

 この作品は、オラヴィの本人目線から見ると、心血を注いできた生業を最後に開花させて人生を全うしたという美談だが、彼の娘の目線から見ると、独善的な利己主義者であり最低の父親のろくでもない半生譚だ。その二面性がうまく描かれており、軽薄なヒューマンドラマに終わっていない。おそらくラストシーンを観ても、オラヴィという男の人生に対する評価は一様ではないだろう。

 あまり日頃触れることがない画商の世界を垣間見えるという点でも、興味深い作品である。タイトルやポスターからは、ミステリー要素があるように感じるかもしれないが、本作は基本的に地味な作風であり、ミスリードのように思う。鑑賞者の心を無理やり揺さぶろうとしない単館上映向けの作品が好きな方に特にお勧め。

 

  最後までお付き合いいただきありがとうございました。 

 AmazonPrime、dTvで鑑賞できます本作品の配信情報は2021年7月11日時点のものです。配信が終了している、または見放題が終了している可能性がございますので、現在の配信状況についてはホームページもしくはアプリをご確認ください。)

dTV