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ドイツの半分が共産圏だった時代を覚えて(知って)いますか? 東ベルリンから来た女

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2012年 ドイツ

 

あらすじ

 (注・ラストまで書いてます。)

 女医のバルバラ・ヴォルフが首都東ベルリンの病院から田舎の病院に赴任してくる。医師のライザーが彼女を迎える。彼はバルバラに、ベルリンからやってきたというだけでやっかまれるから、振る舞いに気をつけるように助言するが、彼女は耳を貸そうとしない。それどころか親切なライザーに対してつれない態度をとる。それには理由があった。彼女は西ドイツの男性の恋人がいて、彼の手引きで国外へ脱出する計画があり、一見親切そうなライザーを当局の監視役だと疑っていたのだ。

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少女漫画に出てきそうな整った容姿のニーナ・ホス

 赴任して間もなく、病院にステラという名の少女が搬送されてくる。トルガウの作業所(収容所)から脱走して草むらに隠れているうちにダニに噛まれ髄膜炎を発症していた。ステラは治療にあたったバルバラを慕い、退院しても作業所に戻さないようにして欲しいと懇願するが、バルバラの働きかけも虚しく送還されてしまう。

 最初は緊張関係にあったバルバラとライザーの関係も、共に働くうちに少しずつ変わっていく。お互いを医師として尊敬しあい、徐々に信頼し合うようになっていったのだ。

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 いよいよバルバラの国外脱出の決行日がやってくる。家を出発して合流地点の浜辺に向かう準備をしているバルバラの元へ、再び作業所から逃走してきたステラが息も絶え絶えに転がり込んできた。応急処置を済ませステラを抱えて浜辺に向かうバルバラ。やがて濃紺の水平線の向こうからゴムボートに乗った手引者がやってくる。そして……バルバラは自分の代わりにステラを西ドイツへ脱出させるのだった。

 

 

感想・コメント

 この話はドイツが東西に分かれていたからこそ成立した話である。といっても、若い世代にはピンとこないだろう。ドイツが統一されたのが1990年。それから早30年も経ち、彼ら彼女らの世代にとっては、ベルリンの壁など歴史の本のわずか数行の記事にすぎない。

 当時、東ドイツから西ドイツへ脱出するのは命がけだった。今で言えば脱北者のようなものだ。バルバラが西ドイツへ脱出することを望んだ理由が、恋人のためだったのか、自由を享受するためだったのか、実は私には分からなかった。多分、バルバラ本人の中でも揺れ動いていて、ライザーとの出会いによって西ドイツの恋人が絶対的存在ではなくなりつつあったからこそ、ステラを送り出すという決断ができたのではないかと私は思う。そうではない、これは間違いなく自分の幸せを犠牲にして人助けをした感動作だという人もいるだろう。この作品のラストは、見つめ合うバルバラとライザーの呼吸音とともにフェードアウトしていく。正解が語られるはずのその先の台詞はない。

 ロマンスともヒューマンドラマとも言えるこの作品。あなたはどちらだと感じるだろうか。

 

 最後までお付き合いいただきありがとうございました。